第837回&第838回
最新号は毎週金・土曜日の夜にメルマガ配信。
【関西事情通チョッといい話】
●高松宮記念以上に注目?●
今年も早くも春の連続GIが今週から開幕する。その開幕GIは高松宮記念、昨年の最優秀短距離馬であるファインニードル、そしてそれまでの短距離王者だったレッドファルクスが引退し、王者不在のスプリント戦線なだけに、新たなスター誕生の期待を膨らませる一戦に加え、話題の女性ジョッキー藤田菜七子騎手の参戦により、より盛り上がりを見せている。
しかし、この日曜中京では、ある意味で高松宮記念よりも注目と言ってもいいレースがある。
第9Rの
大寒桜賞だ。
ローカル裏開催のたかだが3歳1勝クラスの条件戦ではあるのだが、この時期の芝中距離戦で尚且つ左回りという事もあり、日本ダービー出走を目論む遅れてきた期待馬が集まる傾向にある。
実際、このレースがこの時期に施行されてからの過去7年、勝ち馬の馬名を並べれば、
トーセンホマレボシ
ラストインパクト
ワールドインパクト
タンタアレグリア
レッドエルディスト
アドマイヤウイナー
ダノンマジェスティ
昨年こそ大敗してしまったが、それまでの勝ち馬は全て、次走は青葉賞若しくは京都新聞杯で好走している。これだけ高確率で次走重賞好走馬を輩出するレースも珍しいだろう。
今年も相応しいメンバーが集まった。
中でも注目は3頭。
まずミルコが手綱を取る
サトノソロモン。1月に新馬戦を勝っただけだが、その新馬戦はまだまだフワフワしていて素質だけで勝ったレース。1回使った今回はかなり前進気勢も出て馬の雰囲気が変わりつつあり、ここを勝ってダービートライアルという目標を立てられる状態にある。
鞍上のミルコも、皐月賞ではアドマイヤマーズの手綱を取るが、もとよりマイラー志向の馬でありダービーの舞台に合うかの懸念は残るところ。そういう意味でダービーのパートナーを模索しているところもあり、その候補に挙がっているのがこのサトノソロモンでもある。まずは注目。
そして、もう一人のJRA外国人騎手のルメールが新馬戦で手綱を取った
ルヴォルグも、東京スポーツ杯では先約でヴェロックスに乗る事になったが、このルヴォルグにも後ろ髪を引かれる思いだったという。結果は、大きな出遅れもあってかスタートダッシュが付かず、最後方から全く流れに乗れずに9着と敗れたが、まだ見限れない素質馬であることには間違い無い。
もう1頭は、兄弟には活躍馬の多い良血馬
クールウォーター。
デビュー戦は、センス抜群のレース運びから、追ってからも良い瞬発力を見せ完勝、素質の高さを魅せ付けた。
牝馬ゆえに、このあとの最大目標は優駿牝馬オークス、そこへのステップには、今週でもミモザ賞や君子蘭賞など牝馬限定戦があるのだが、新馬戦を勝ったコースと同じと言う事もあるのだろうが、牡馬の強いところに敢えてぶつけてきた。
鞍上の藤岡康太騎手も、一時(岩田騎手が乗れなくなった時点)は重賞マーチSに出走する師匠の厩舎のテーオーエナジーの声が掛かったが、このクールウォーターが使うとあって中京での騎乗を決めたという。
重賞勝ち馬の重賞での騎乗依頼がありながらも、裏開催の3歳1勝馬の騎乗に拘ったここ、もちろん勝てば次走はオークストライアルになるだろう。
隠れた出世レースである大寒桜賞、GIの高松宮記念以上に注目というのも意外と大袈裟ではない。是非注目して頂きたいレースだ。
【美浦の『聞き屋』の囁き】
●荒れるハンデ重賞●
マーチSのトップハンデは57.5キロが2頭。続く57キロが2頭と例年になくハンデが重くなったのは重賞ウィナーが多く揃ったから。
出走馬確定賞金ボーダーラインも高く除外馬が多数。
下級条件から一気に駆け上がってきた新興勢力と古豪の対決は見応えがありそう。
鞍上を巡ってもいろいろなゴタゴタがあったようだ。
テーオーエナジーの鞍上はシュタルケ騎手を予定していたが先週の騎乗停止で田辺騎手へ乗り替わり。
田辺騎手が偶然にもまったく騎乗依頼がなく完全に予定が空いていたこともありスムーズに決定。
戸崎騎手は除外候補の馬の依頼を受けており、このままでは騎乗馬がいない状況だったが、直前で
ヒラボクラターシュが出走を表明したことにより、あっさりと決定。
騎乗馬なしの状況から一転、有力候補を確保することができた。
リーディング上位で勝ち続ける騎手は、このあたりも「持っている」のかもしれない。
57.5キロから52キロとハンデ差は最大で5.5キロ。
逃げ馬に強い先行馬、強力な決め手のある馬と多彩な顔ぶれ。
荒れるハンデ重賞らしい激しい戦いを見ることができそうだ。
【競馬場から見た推奨馬券】
中山は、土曜の午前中に少し降ったが、ダートは多少湿った程度。芝はあまり影響ない感じ。ただ、再三言うように、内側はかなり悪い。今週までは、芝は差しが利く馬場だ。
まずは勝負しやすいダートから。
狙い馬は、
中山3Rの11番
アシャカホンマル。デビュー戦のパドックにて、馬っぷりの良さが目を引いた馬だが、まだ多少立派過ぎるように映った。気合いもまだ平で、その分行きっぷりがもう一つ。ただ、大外枠から好位につけるスピードは見せたし、手応えの割には渋太く頑張っていた。
4着にしては時計は平凡だが、今回のメンバーなら似たり寄ったりのもの。
それだけに、大型馬の叩き2戦目の上積みに期待したい。実戦を使えば、ガラリと変わるタイプだ。中2週で普通に2本追えているだけに、反動も全くなかったと見て良さそう。馬っぷりから、能力は間違いなくあるはず。
単勝 11番
馬連 11-14 11-15 2-11
ワイド 11-14
自信度 C
芝の差せる馬場で狙いたいのは、
中山10Rの5番
クレッシェンドラヴ。
前走も抜群の手応えで直線に向いたが、ラスト50mまで捌き切れず。本当に追えたのはゴール前だけ。あの手応えで普通に捌けていれば、差し切っていたと思える。
それに続けて使うよりも、間隔を開けた方が走る傾向にあり、約3カ月開けた今回の方が、前走以上に期待できる。
外が伸びる馬場だけに、今回は小細工なしで、勝った前々走のように外からねじ伏せる競馬で決めてくれると見た。
単勝 5
馬連 4-5. 5-8 5-9
3連複 4-5-8 4-5-9 5-8-9
自信度 B
高松宮記念。軸は迷わず13番
ダノンスマッシュ。前走シルクロードSまで、3重賞連続インのポケットと恵まれていた感は確かにある。個人的にも評価は微妙だったが、シルクロードを見てその評価は一変した。
2番人気のラブカンプーをマークして直後に付けたが、そのラブカンプーがかなりモタついており、内から捌こうとしたら内にモタれられてブレーキ。態勢を立て直している間に3、4頭に外から先を越され、その後から再稼働という厳しい型となってしまった。それにも関わらず、後方から惰性をつけて伸びてきたティーハーフの内から併せに行って、進路を確保。抜群の瞬発力を見せて、最後は流す余裕さえ見せた。現状では、他馬とは力が一枚も二枚も違うという印象を受けた。
3走前のキーンランドは、切れ味を削がれる馬場が応えたものだろう。
中京コースはファルコンSで凡走したが、距離1400、放牧明け、出遅れと、敗因ははっきり。参考外と見て良い。
枠順が外よりに行ったのは、器用さがある馬だけに残念だが、良馬場でさえあれば、今年のメンバーなら、ほぼ馬券の対象になる。
焦点は相手探しと見て良さそう。
妙味があるのが、好枠を引き当てた3番ミスターメロディ。前走阪急杯は1番人気を裏切ったが、他馬と接触して戦意喪失模様で参考外。
中京のファルコンSでは、初芝でダノンスマッシュ、モズスーパーフレアを完封している。成長度と距離適性が問題となるが、コース適性は高いはず。ファルコンの内容は、フロックとは思えない強いものだった。季節的にもその時季であり、再現があってもおかしくない。
もう一頭は、9番ナックビーナス。昨年の3着に恵まれた感はなく、同馬もコース適性は高い。モズスーパーフレアの離れた番手の型は決まっており、競馬もしやすい。
穴なら、14番ペイシャフェリシタ。オーシャンSの4着は、勝負所で捌き切れないロスがあり、着差ほどの力差は感じない。ダイメイプリンセスを子供扱いにした中京での1600万勝ちがかなり強く、同馬もコース適性は高い。
馬連 3-13 9-13 13-14
3連単 13の一頭軸マルチ
相手 3.8.9.14.15
【関西事情通チョッといい話】
●天皇賞の前哨戦●
今年も早くも春の連続GIが今週から開幕する。その開幕GIは高松宮記念だが、その開幕を祝う様に、同日にも中山で重賞マーチSが、そして前日の土曜日にも阪神で毎日杯、さらに中山で伝統の
日経賞が行われる。
勝ち馬には春の天皇賞の優先出走権が与えられるGⅡという事もあり、今年も頭数は少ないながらも重賞勝ち馬やGI好走馬が揃った。
勢いある明け4歳勢で、尚且つ鞍上がミルコ、当然上位人気の一角となる
エタリオウ。注目の復帰戦ではあるが、3000mの長距離GIである菊花賞でハナ差2着しているだけに、春の天皇賞は最大目標とするところ。実際、中間熱心に乗り込んではいるものの、漸く調子が上がってきたというところ。ここは本番を見据えての状態で付け入る隙はあるはず。
同じく明け4歳の重賞ウイナーである
メイショウテッコンも、鞍上に武豊騎手を配しているだけに上位人気に推されるが、この馬もまた、収得賞金的には天皇賞出走はまず大丈夫なクチで、ここを使っての本番勝負というところだろう。
実績ある馬に叩き台という要素がある事で、実績の無い馬にもチャンスは出てくる。中でも。収得賞金的に天皇賞への出走は微妙な状況の
カフェブリッツは、使っている強味もあるが、何より前走のダイヤモンドSが「終い甘くなったのは距離か…」という雰囲気もあり、この距離短縮は大きなプラスになるはず。鞍上に前走に続き蛯名騎手が収まっていることも、それだけの感触を掴んでいるからこそだろう。
ダートではヤメグセがあって芝へ転向、そこでキッカケを掴み以降は崩れず走っているこの馬、前述通り実績馬に付け入る隙があるここならチャンスはあるだろう。馬券的にも注目したい1頭だ。
【美浦の『聞き屋』の囁き】
●志願しての騎乗●
昨年の
毎日杯を制したブラストワンピースがダービーへ直行して僅差で4着と好走したことで、トライアルレースとしての価値が上昇。今年は出走頭数が昨年の10頭から13頭へと増加。
結局は回避となったが、関東のダービー候補も一時は出走を表明していたぐらい。
関東勢で唯一の出走となったのが
アントリューズ。
1番人気で挑んだシンザン記念ではいいところがなく初めての大敗。
そこから立て直しての1戦となるわけだが、鞍上には初コンビとなる田辺騎手を起用。
起用というと、調教師が騎手を選んでオファーするイメージだが、今回に関しては逆。
調教でアントリューズの走りを見た田辺騎手から調教師へと騎乗志願のオファー。
もともと栗田徹厩舎の主戦が田辺騎手だったこともあり、アントリューズの素質を早い時期から田辺騎手は評価していたらしく、どこからのタイミングで騎乗してみたかったのが、今回につながったようだ。
結果と内容次第で皐月賞、もしくはNHKマイルCをと青写真を描いており、田辺騎手は皐月賞には先約があるみたいだが、NHKマイルCの予定は空けているとのこと。
このチャンスを逃すとGⅠは諦めてオープン特別かリステッド競走へと回るしかなくなる大事なトライアルレース。
消極的な田辺騎手が積極的に動いた志願の騎乗が実るのかどうか。